【コンサート見聞録】2018年7月~12月

【コンサート見聞録】2018年7月~12月

7月~12月に足を運んだ演奏会をまとめてみます。

東京藝大ウインドオーケストラ第85回定期演奏会

(7月4日(水) 19:00~ 東京藝術大学奏楽堂)
声楽科・邦楽科の協力を得ての「ぐるりよざ」、各奏者の技術の高さと大井マエストロの巧みな構築力が際立つ圧巻の「プラハのための音楽1968」など充実の内容(今回の演奏会テーマは「G→H」[Geidai その先へ] とのことで、作曲者名か曲名にこの「G」か「H」が入っているものが選ばれている、との由)。
今までの藝大ウインドの演奏ともまた違う印象で、今後のバンドの進化がますます楽しみになりました。休憩中のロビーでは、私の作曲の師匠・松下功先生に数年ぶりにお会いすることができて(私は気づかず、先生の方から「坂井君!」と声をかけてくださった)、嬉しかったです。そして、先生に会うとやっぱり緊張します…。

【プログラム】◇海を越える握手(J.P.スーザ) ◇吹奏楽のための第2組曲(G.ホルスト) ◇吹奏楽のための交響詩 ぐるりよざ(伊藤康英) ◇狂詩曲 ジェリコ(M.グールド) ◇プラハのための音楽1968(K.フサ)

【指揮】大井剛史

大江戸シンフォニックウィンドオーケストラ 第7回定期演奏会

(7月14日(土) 16:30~ タワーホール船堀)
邦人作品の紹介・開発にも積極的な大江戸シンフォニックウィンドオーケストラ。 今回も、福島弘和氏に委嘱した作品の初演やこの演奏会のために公募した作品の初演を行ない、話題を集めました。
アンコールは、このバンドが第1回演奏会の時から欠かさず演奏している「アプローズ!」。いつもとは違ったアプローチもあって楽かったです。

【プログラム】◇春薫る華(八木澤教司) ◇たなばた(酒井格) ◇吹奏楽のためのワルツ(高昌帥) ◇あなたとワルツを踊りたい(野呂望) ◇叙事詩「エンデュランス号の奇跡」より 船出(関口孝明)[※初演] ◇吹奏楽のための「夜想曲」(福島弘和) [※委嘱初演] ◇春の猟犬(A.リード) ◇交響曲第3番(J.バーンズ) ◇ [アンコール] アプローズ!(坂井貴祐)

【指揮】 樫野哲也

みんなの吹奏楽団 第12回演奏会

(8月19日(日) 13:00~ 鎌倉芸術館)
過去にNHK-BSで放送された「響け!みんなの吹奏楽スペシャル」に出演した音楽愛好家たちによる「みんなの吹奏楽団」。放送が終わったあとも一年に一度演奏会を開いて親睦を深めているそうです。そういう経緯があるからか、今回ステージに乗っていた奏者のみなさんの表情はまるで同窓会を開いているかのように楽しそうでした(演奏後の打ち上げも盛大に行われたそう)。
ジャズクラリネット奏者・北村英治氏がソロを務めたアンコール曲「シング・シング・シング」の演奏は「最高」のひとこと!

【プログラム】◇ディズニー・ファンテイリュージョン ◇ ファンタズミック! ◇ ミッキーマウス・マーチ(J.ドッド/三浦秀秋 編) ◇アンダー・ザ・シー(A.メンケン/船山基紀 編) ◇塔の上のラプンツェル(A.メンケン/星出尚志 編) ◇ アラジン~フレンド・ライク・ミー(A.メンケン/スウィーニー 編) ◇Mr.インクレディブル(M.ジアッチーノ/星出尚志 編) ◇ピノキオ~星に願いを~(L.ハーライン/S.ネスティコ 編) ◇白雪姫~いつか王子様が~(F.チャーチル/本澤なおゆき) ◇パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド(H.ジマー/J.ボコック 編) ◇アンバー・ドリーム(星出尚志) ◇ウイング・カラーズ(福田洋介) ◇みんなのショータイム(福田洋介) ◇セレブレイト(清水大輔) ◇ネクスト・エンジェルス(清水大介) ◇交響曲第1番「アークエンジェルス」(F.チェザリーニ)

【指揮】芹沢 尚 【ゲスト】北村英治(ジャズクラリネット奏者)、福田洋介(作曲家)、清水大輔(作曲家)

陸上自衛隊中央音楽隊 第155回定期演奏会

(9月1日(土) 14:00~ すみだトリフォニーホール)
日本がスウェーデンおよびスペインと外交関係を樹立してから今年で150周年を迎えたそうです。それを記念して、前半は両国の作曲家の作品が多く並べられていました。また、外務省の公募により採用されたパプアニューギニア国音楽隊行進曲「ポート・モレスビー」 の初披露も行われ、注目を集めました 。
後半は客演の新通英洋氏の指揮による演奏。前半を指揮した樋口孝博 隊長とも異なるアプローチが興味深かったです。

【プログラム】◇スウェーデン・シグナル・マーチ第1番(I.ウィドナー) ◇祝典序曲 作品26(H.アルヴェーン) ◇「スペイン組曲」より”セヴィーリア”(I.アルベニス) ◇マーチ「ポート・モレスビー」(パプアニューギニア国音楽隊行進曲)(高橋宏樹)[※初演] ◇春~吹奏楽のための序曲(J.デ=メイ) ◇「小組曲」より(C.ドビュッシー/建部知弘 編) ◇吹奏楽のための第1組曲(G.ホルスト) ◇歌劇「ピーター・グライムズ」より”4つの海の間奏曲”(B.ブリテン/J.クレインズ 編)

【指揮】隊長 樋口孝博 【客演指揮】新通英洋

オーケストラ・プロジェクト2018

(9月5日(水) 19:00~ 東京オペラシティ)
新作オーケストラ曲の発表を自主公演で行っている「オーケストラ・プロジェクト」。この公演を開催するために700万円近くかかるということで、今回初めて「クラウドファンディング」で支援者を募ったことも大きな話題になりました。私も微力ながら協力させていただき、当日拝聴。
個人的には「微分音ヴィブラフォン」を使用した山内作品を一番面白く聴きました。「どうやってこの音作ってるんだろう?」と不思議に思った部分もあるので、後日、クラウドファンディングの返礼品であるスコアを見るのが楽しみです。

【プログラム】◇漆黒の網目(阿部 亮太郎) ◇ピアノ協奏曲第3番(小山和彦) ◇SPANDA~ヴィブラフォンとオーケストラのための(山内雅弘) ◇交響曲(2018)(森垣桂一) ※全曲初演

【指揮】大井剛史 【管弦楽】東京交響楽団 【ヴィブラフォン独奏】會田瑞樹 【ピアノ独奏】西村翔太郎

日本フィルハーモニー交響楽団 第703回定期演奏会

(9月7日(金) 19:00~ サントリーホール)
近代フランスの香りを感じることの出来るプログラム(三善晃氏はフランスに留学していた)。オシャレで小気味よいプーランクの「シンフォニエッタ」もデュティユーの「ル・ドゥーブル」も良かったけど、やはり、個人的ベストは三善晃の「ピアノ協奏曲」。「レクィエム」とか「詩篇」とか、他の三善作品の実演も聴きたいなぁ。

【プログラム】シンフォニエッタ(プーランク) ◇ピアノ協奏曲(三善晃) ◇交響詩《魔法使いの弟子》(デュカス) ◇交響曲第2番《ル・ドゥーブル》(デュティユー)

【指揮】山田和樹 【ピアノ】萩原麻未

陸上自衛隊東部方面音楽隊 第70回定期演奏会

(9月21日(土) 19:00~ 東京芸術劇場)
東部方面音楽隊による委嘱作品特集。同音楽隊が 2001年~2006年の間に委嘱した、天野正道・星出尚志・真島俊夫・清水大輔・八木澤教司 各氏による作品と、今回の演奏会のために委嘱された樽屋雅徳氏の作品が演奏されました 。ほとんどの作品はその初演時(もう10年以上前…)にも聴いていましたが、今回はまたその時とは違った、新鮮な気持ちで聴くことができました。アンコールには、私が2004年に委嘱を受けて作った、コンサートマーチ「光の饗宴」の演奏も。当時の気持ちが蘇りました。
終演後は、天野正道・樽屋雅徳・清水大輔 各氏、そして、真島俊夫夫人の匡子さんたちとスペインバルに行き、深夜3時半(!)まで飲み明かす幸せな時間を過ごしました。

【プログラム】ナヴァル・ブルー(真島俊夫/2003年委嘱) ◇アレックス教授の冒険物語(清水大輔/2005年委嘱) ◇東雲(星出尚志/2004年委嘱) ◇「モアイ」~太陽を見つめる七体の巨像~(八木澤教司/2004年委嘱) ◇Sayfert Galaxy(樽屋雅徳/2018年委嘱)[※初演] ◇勇者達の夢(真島俊夫/2006年委嘱) ◇おほなゐ~1995.1.17 阪神淡路大震災へのオマージュ~(天野正道/2001年委嘱) ◇ [アンコール] コンサートマーチ「光の饗宴」(坂井貴祐/2004年委嘱)

東京佼成ウインドオーケストラ 第140回定期演奏会

(10月6日(土) 14:00~ 東京芸術劇場)
A.リードの「法華経からの3つの啓示」が名演!2楽章の木管弱奏の美しさ、3楽章の感動的な音楽作りが素晴らしかったです。ジョリヴェのトランペット協奏曲第2番は、本間千也氏のソロ、そして少数メンバーによる密度の濃い演奏に圧倒されました。演奏後、メンバーの皆さんが本間氏に向けて温かい眼差しと温かい拍手を送りつづけていたのも印象的。
最後に演奏された「トリトン」は、1階席の前方で聴いたためか、細かな動きがホールの豊富な残響によって聞き取りにくくなってしまっていて「演奏はとってもいいのに~」と、もどかしい思いでした。

【プログラム】◇法華経からの三つの啓示(A.リード) ◇トランペット協奏曲 第2番(A.ジョリヴェ) ◇アルセナール(J.ヴァンデルロースト) ◇プレリュードとダンス(P.クレストン) ◇トリトン(長生 淳)

【指揮】 秋山和慶

フレッシュマン・ウインド・アンサンブル 演奏会

(11月24日(土) 19:00~ 洗足学園前田ホール)
洗足学園音楽大学で管弦打楽器を専攻する1年生によるバンド「フレッシュマン・ウインド・アンサンブル」。作曲家のティモシー・マー氏が指揮をする、ということで「これは!」と足を運びました(姿を拝見するのは、セント・オラフ・バンドを率いて来日した2010年以来かな?)。
同氏の作品の煌びやかなサウンドが好きなので、自作自演を聴けて嬉しかったです。欲を言えば、アンコールも氏の作品が聴きたかったかな…(学生らしい「はじけ方」ではあったけど)。

【プログラム】◇シンフォニア 変ロ短調(ポンキエッリ) ◇ アール・オブ・オックスフォード・マーチ(G.ジェイコブ) ◇吹奏楽のためのバラード「ハンティングタワー」(レスピーギ) ◇吹奏楽のための第2組曲(G.ホルスト) ◇吹奏楽のための組曲(T.マー) ◇想像してごらん…(T.マー) ◇ ノーブルエレメント(T.マー) ◇ [アンコール] サンバ・エキスプレス(真島俊夫)

【指揮】 ティモシー・マー

読売日本交響楽団 第583回定期演奏会

(11月28日(水) 19:00~ サントリーホール)
メインはジョン・アダムズの「シティ・ノワール」。2015年の「ハルモニーレーレ」以来、3年ぶりにアダムズ作品の実演が聴けました。
エマニュエル・パユのソロによるモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」、アンコールとして演奏されたイベールの「フルートとハープのための間奏曲」も非常に良かった!プロに共通するのは「弱奏の美しさ」「フレーズの長さ」「豊かな表情」ですね。

【プログラム】◇ミュージック・アット・ナイト(スクロヴァチェフスキ) ◇フルートとハープのための協奏曲 ハ長調(モーツァルト) ◇シティ・ノワール(アダムズ)

【指揮】 デニス・ラッセル・デイヴィス 【フルート】エマニュエル・パユ 【ハープ】マリー=ピエール・ラングラメ

広島ウインドオーケストラ結成25周年記念 東京公演

(11月29日(木) 19:00~ 東京芸術劇場)
指揮の下野竜也さんによる、鳴らし過ぎず見通しの良い音楽づくりとそれに応える奏者の方々の活き活きした演奏が大変見事!楽しみにしていた「秘儀VII《不死鳥》」も期待通りの面白い作品でした。曲の最後まで一気に聴かせてしまう圧倒的なエネルギー。「もっと聴いていたい」とすら思いました。演奏前に行われた西村氏の(脱線しまくりの)トークも楽しかったです。

【プログラム】◇少しずつ訪れた悲しみは、いつの間にか去っていっただろうか?[※初演](大胡恵) ◇ユーフォニアム協奏曲「天涯の庭」(長生淳) ◇ 秘儀VII「不死鳥」~広島ウインドオーケストラ結成25周年記念委嘱作品~[※初演](西村朗) ◇ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)

【指揮】下野竜也 【ユーフォニアム・ソロ】外囿 祥一郎